鍼灸の効果に差が出る理由は?
初診の患者さんの話を聞いていると、「以前も似たような話があったな」と思うことがあります。
病名・症状の状態・検査結果などなど、一見すると他の患者さんとそっくりという場合です。
しかし、実際に施術をしてみると、全く違う経過をたどることがほとんど。
個人差と言えばそれまでですが、東洋医学の考え方を知ると少し理解しやすくなるんです。
原因が同じとは限らない
僕が念頭に置いている東洋医学では、身体の元気に着目して病因を考えます。
身体が疲れて元気が不十分な状態だと、様々な外的な刺激に負けてしまって症状が生じるというわけです。
上記のように他の患者さんと一見同じような状態でも、その背景にある元気の状態は大違いであることがほとんど。
元気の消耗が少しであれば症状も早く変化しますが、元気の消耗しずぎている場合はもちろん回復に時間がかかってしまいます。
これが一見同じような状態でも治っていく経過が違ってくる理由の1つになるんです。
元気を消耗したのはなぜ?
そもそも元気をなぜ消耗したのか、というのも大きく影響してくる要素です。
「1週間だけ仕事が忙しい」「休日に遠出して遊びに行った」というような一時的な疲れが原因であれば、その状況を乗り切ることで元気の消耗が止まります。
「冷たいものを常飲・常食している」「運動をさぼっている」なども、生活を工夫して改善すれば症状の変化も良い方向に行くでしょう。
しかし、「古傷がずっと残っている」「忙しくて常に睡眠・運動の時間が足りない」「家族関係でストレス」といった場合は疲れの原因を取り除くことが難しいですよね。
すると施術直後は元気が回復したとしても、すぐにまた元気を消耗してしまいます。
結果として元気が充分な状態になるまでに時間がかかるので、症状の改善までにある程度の期間を覚悟する必要もあるのです。
自分自身の状態を把握しよう!
患者さんから「どのくらいで良くなりますか?」と聞かれることも多くあります。
きっちり答えたいのはやまやまですが、元気の消耗の程度や原因に左右されるので、施術した時の手ごたえだけで判断するのは難しいんです。
しかし、元気の状態を自分でも把握していると、症状の変化に焦ったりせず冷静に施術のプランを考えられるようになります。
特に自身の症状が治りにくいと感じている方は、ぜひ疲れの程度や原因を振り返ってみて下さい!