小林詔司先生 追悼文集
実はこの1年半、ほとんどの仲間にも告げずこっそりと本の編集作業をしていました。
恩師である小林先生の追悼文集です。
ようやく形になって関係者皆さんの手に渡り、当院の待合室にも並べることができたので、作業の締めくくりに思うところを綴っておこうと思います。
小林先生は、当院でも行っている積聚治療という鍼灸治療を考案した方です。
なにより僕の師匠の師匠にあたる鍼灸師で、僕自身も先生の鍼灸院で6年間お世話になりました。
[関連記事:恩師の訃報に際して]
近くで先生を見ていると、技術や理論だけじゃなく鍼灸師としての生き様もスゴく勉強になりました。
また、先生の人柄や趣向を知れば知るほど、かなり積聚治療の成り立ちに影響してると感じてきました。
しかし、小林先生が遺した文章は真面目でフラットなものが多いので、それとは別に普段の姿も残しておきたいと思ったのです。
幸い、会議で提案したら許可をもらえたので張り切って作業を開始しました。
当初はもっと早い完成を目指していたのですが、著者の方とこだわり抜いたり、別の急務が入ったり、構成をブラッシュアップしたくなったり、と予定より時間がかかってしまいました。
皆さんにご心配をお掛けしたのは反省しきりなのですが、お叱り覚悟で手をかけた甲斐がある冊子ができました。
もちろん小林先生の人徳と多くの方の協力があってこそですが、企画・作業して本当に良かったと思っています。
先月末の入稿を終えた日の夜、小林先生の夢を見ました。
飲み会で隣の席になり「桂田さん、今日は始まるまで何してたの?」「自分のところで仕事してから来ました」なんて何気ない会話したところで目が覚めました。
気負ってたのが解放されたからでしょうか、目覚めたら先生が亡くなってから初めてのボロ泣き。
普通に過ごしてきたつもりでしたけど、気持ち的な喪明けをやっと迎えたのかもしれません。
追悼文集は、いわば過去に目を向けた先生への恩返し。
先生との時間が活きるよう鍼灸の研鑽をすることで、前を向いた恩返しとしていきたいです。
今までの10年間も小林先生の期待を裏切らないよう精いっぱい頑張ってきましたが、これからは小林先生(恐らく)最後の大抜擢という立場を背負っていかなければなりません。
小林先生は、気が集まると命が生まれ、亡くなると気として散じるという理論に言及していたことがあります。
いつかわかりませんが僕も散じて気に還った時、小林先生に顔向けできるよう鍼灸師を目指して頑張ります。