薬とうまくつきあおう

時折、患者さんから「今飲んでいる薬は続けていいですか?」と訊かれることがあります。
法律的に鍼灸師は薬について指導できないので、患者さんにはその旨をお伝えしています。
ただ、それとは別に一般論として、薬には頼りすぎない方がよい印象があるんです。

症状が消えてしまう

何のために薬を飲むかというと、症状を楽にするためですよね。
薬によって病が解消し、症状がなくなるなら良いんです。
しかし、解熱剤や痛み止めのような薬で症状だけ緩和してしまうのには注意しなければなりません。

身体が症状を必要としている場合、薬で抑えてしまうと治るまで遠回りになってしまいます。
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また、症状がわかりにくくなると正確な体調がわからないという弊害もあります。
実際に患者さんから、痛み止めで我慢しつつ仕事を続けていたら盲腸炎から腹膜炎になっていた、という経験を聞いたことがあります。
楽になるための薬で無理をして、更に身体を悪くしたら本末転倒ですよね。

薬の成分も身体に負担

現在、処方される薬はほぼ化学的に作られています。
中には自然界にある物質を化学的に再現したものもありますが、大抵は人工的に生み出された成分でできています。
しかも、大量の原子から構成されている、いわゆる高分子の成分です。
身体にとって馴染みのない上に分解・消化にエネルギーが必要となりますよね。
一時的なら許容できる負担でも、長期間服用していると身体の負担になってしまうんです。

薬に頼りすぎない

薬で症状をごまかすのが前提になってしまうのも怖いですね。
骨折などでギブスをしていると筋肉が衰えることは有名ですが、薬の助けに頼り切ってしまうと同じことが考えられます。
そうなってしまうと、いざ薬をやめるときには量を徐々に減らすなどかなりの苦労が必要になります。

急性の症状の時など、薬を使用することはあると思います。
ただ、薬に頼れば万事解決ではないということを頭の片隅に置いておくのも大事です。
薬を服用するにしても、同時に鍼灸などで根本からの回復をすることも忘れないでくださいね。