不妊と低体温

今週は不妊や逆児など妊娠・出産関連の患者さんの割合が多い一週間でした。
普段はもっと他の症状の方も来てるんですけど、今週は不思議とそういうタイミングのようです。
折角なのでその流れに便乗して不妊についての記事を書いてみます。

不妊解消を求めてくる方は、ほぼ100%冷え症も気になるとおっしゃります。
程度は手足だけが冷える方から低体温の人まで様々ですが、冷えを自覚しているという点では共通しています。
これは不妊の原因の一つとして「冷え」が有名になって来たからではないかと思います。
不妊と冷えの関係は、よくある説明では血流やホルモン量に影響が出てくるからと言われています。
もちろんそう言った要素もあるでしょうけど、東洋医学的に考えるともっと根本的に冷えが不妊に大きな影響を与えることが分かります。

妊娠のために基礎体温を計っている人は多いようです。
基礎体温とは平たく言うと、体温の変化から体内のホルモン分泌の状況を知り、排卵など妊娠に必要な情報を知るために計るものです。
低温期と高温期があり、排卵から生理までの期間が高温期となります。
妊娠すると高温期はそのまま続きます。
受精・着床・妊娠という赤ちゃんに関わる期間は体温が高い時期なのです。

ここに着目すると、妊娠のために体温を上げる必要があると言えそうです。
ところが身体が冷えていて体温が上がらない、もしくは上がっても低体温だったらどうでしょう?
身体が受け入れる状態になりきれないままでは、当然妊娠も難しくなりますよね。

なぜ妊娠の準備として高体温が必要なのかも、東洋医学的に説明できます。
妊娠中は母体が赤ちゃんを養います。
我々は恒温動物ですから、生きるということは体温を維持することです。
つまり妊娠中の母体は2人分の体温を維持する必要があります。
そのために妊娠の準備としてあらかじめ体温を上げていると考えられます。

身体が冷えているということは、体温を上げるためのエネルギー=生命力が足りていないということです。
母体の温度を上げる生命力が不足していれば、赤ちゃんを養うにはさらに心もとなくなります。
赤ちゃんを迎え入れて養うだけの生命力の余裕を持つことが、不妊の治療の一番の目的になります。

妊娠する機会は1ヵ月に数日しかありません。
しかも、何も問題がない状態でも妊娠する率は20%と言われています。
そうなると鍼灸治療が不妊に効いているか判断するのには5カ月以上かかる可能性があります。
しかし身体の冷えに着目すれば話が違ってきます。
自分の冷えの変化を確認すれば、間接的にですがいつでも不妊の改善具合がわかります。
不妊と冷えの関係をうまく利用して、不妊改善の目安にしてみてください!