寒く空気が乾燥しているので、風邪が流行っているようです。
自分の周りからも、チラホラ「風邪っぽい」という話が聞こえてきます。

もちろん例年この時期には風邪気味の患者さんもいまして、時には「仕事があるから熱が出ると困る」と訴えられることもあります。
ところが鍼灸で風邪の治療をすると、逆に熱が出てしまうことがあるんです。
こう書くと鍼灸で悪化したような誤解を招きかねませんが、そうではありません。
鍼灸を受けて身体が風邪を治そうとするからこそ、発熱するのです。

そもそもなぜ風邪の時は発熱するのでしょうか?
免疫の力は体温が高い方が働きやすいと言われます。
つまり体温を上げることでウイルスに抵抗する免疫力を高めるということです。

東洋医学では、ウイルスという概念がないのでちょっと違ってきます。
文字通り風、そして疲れなどで身体が冷えてしまったものが風邪となります。
その冷えた身体を温めるために発熱するのです。

東洋医学・西洋医学のどちらのメカニズムでも共通するのは、風邪を治すために発熱するということです。
そのため鍼灸で自然治癒力が高まり身体が風邪を治そうとすると、発熱の方向に向かうのです。
実際にちゃんと熱が出てしまった方が、その後すっきりと風邪の症状が消えることが多いです。
むしろ熱が出ない方が、風邪を治す過程に入れず長引いたりします。

毎年この時期になると何週間も微熱が続くという患者さんがいました。
元々は長年の冷え症が来院理由の方です。
冷え性が何年も続くのは、それだけ長期間生命力が不足しているということです。
この生命力の不足が風邪にも影響し、風邪をひいても発熱するほどのエネルギーがなかったと考えられます。
しばらく鍼灸治療を続けてむかえた去年の冬には発熱していました。
ご本人いわく「発熱したのは十何年ぶりかも」とのことでした。

もちろん、身体の冷えの程度によっては発熱しないでも治る風邪もあります。
ただ発熱しないで治らない風邪は、軽くて熱が出ないのではなくて根が深いのです。
寒気やだるさなど熱が出そうで出ない状態が続くようでしたら要注意です。
風邪を治す力が不足していると思って、休息を取る、ひどい場合は鍼灸治療で根本的なエネルギーを補うなどを考えてみて下さい。

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