鍼灸治療で治る身体に
僕が駆け出しのことに教わった言葉に「鍼灸治療で治すのではなく、患者さんが治る手伝いをするだけ」というものがあります。
これはある特定の先生だけではなく、色んな先生からの異口同音の教えでもあります。
自分なりに理解して鍼灸に挑んでいたのですが、患者さんに鍼をしている際にふと理解が一段と深まったのです。
今年1年の僕の鍼灸のまとめとして書き残しておこうと思います。
医療だけでは治せない
洋の東西を問わず、医療には絶対的な限界があります。
それは「ご遺体に医療を施しても効果はない」ということです。
医療が効果を出すためには、患者さん自身の身体の力が必要なんですね。
当たり前のようですが、これはあらゆる医療と疾病に共通して言えることです。
気で万物はできている
これを東洋的に表現すると、気の力ということになります。
東洋医学の基になっている考え方では、万物は気でできていて「生々」する力を持っているとします。
万物は空や大地から生物や物体まで、認識できるありとあらゆるものを指しています。
もちろん人も万物の例外ではありません。
特に人体を生々する際に関わる気を、東洋医学では元気・原気・真気などと呼んできました。
現代でも通じる言い方だと生命力やエネルギーということになります。
東洋医学は、手段の差はあれど、基本的にこの気の力を前提に理論ができています。
気の力を引き出す治療
僕は上記の理論に元々納得してましたし、鍼灸の場で実感もありました。
しかし、今年はその理解が深まって腑に落ちた印象があるんです。
患者さんの生命力が働けば身体を生々して治してくれる、鍼灸を施していてそう感じることが増えてきたからです。
鍼やお灸が治すのではなく、患者さんの生命力の手助けをするだけ。
こういうスタンスの良いところは、鍼やお灸が直接アプローチできない部位でも、患者さん自身の力で改善していくということです。
患者さんの力があってこそ多種多様な悩みに対応できる、ということを更に実感できるようになってきた1年でした。
来年はこの東洋医学の醍醐味を更に深めることを目指して励みたいと思います。