鍼灸ってツボに鍼やお灸をすれば、一発でスッと治るイメージありませんか?
僕はありました(笑)。
でも現実には何回も治療が必要な場合があります。
それはなぜか?
感覚的・経験的にはわかっていたのですが、なかなか説明できないでいました。
最近少し整理ができたのでブログに書いてみます。

筋力トレーニングに例えると良いかもしれません。
腕を鍛えたいとします。
腕立て100回を2日に1回のペースでする場合を考えます。
1ヶ月後には1500回となり、腕の太さやたくましさに目に見える変化が出ると思います。
では、早く筋肉を付けたいからと言って最初の日に1500回の腕立てをしたらどうでしょう?
腕立ての合計回数は同じです。
しかし1ヶ月後の腕の様子は違うと思います。
どちらが筋肉を鍛えられるかと言えば継続的に行った方です。

なぜならば筋肉トレーニングには回復が必要だからです。
トレーニングをして筋肉を破壊したあとに、休ませて超回復をすることで筋肉が増強されるのです。
いわば筋肉トレーニングの刺激を筋肉が受け入れるための時間ということです。
最初の日にまとめてやるだけでは、回復をする機会が1回しかないのであまり筋肉に影響はありません。

そもそも鍛えようと思い立ってすぐに1500回は無理です!
筋肉痛も生半可な程度ではすまないのは間違いありません。
上では100回としましたが、これですら多いでしょう。
もしかしたら10回しかできないかもしれません。
少ない刺激しかできないからこそ、その量で回数を重ねる必要が出てきます。

鍼灸治療でも同じことです。
早く治したいからと言って、1回で多くの刺激を与えても効果にはつながらないのです。
治療の刺激を身体になじませるタイミングが必要です。
また1回の治療で受け入れられる刺激の量には限度があります。
多すぎる刺激は治療効果につながらないばかりか、反動が大きくなってしまいます。
治療は弱っている時ほど刺激量を少なくする必要がある点も、筋肉がないほど回数を少なくする必要のある筋力トレーニングと似てますね。

また、遭難した方へのケアも似ている面があります。
長時間に渡って食事ができなかった方には、いくら空腹でもいきなり満足いくまで食事を与えることはありません。
働いていなかった胃腸に急に物を入れるのはショックが大きいからです。
場合によっては死に至ることもあるそうで……。
まずはお粥や流動食で徐々に胃腸の働きを戻していかなければならないそうです。
ここでも、弱いからこそ少しずつ慣らしていくという身体のパターンがわかります。

鍼灸での傾向としては、身体が弱っているほど、症状が出てから時間が経っているほど、少ないで治療回数を多くする必要があるようです。
しかし、どの程度の治療を何回するかは、患者さんの状態によって違うので悩ましいところです。
だからこそ積聚治療では全身のツボの様子などを診て、その時の刺激の程度や今後の治療回数の判断材料にしています。
これから鍼灸治療を受ける方も「治療回数を重ねる必要があるかもしれない」と思っておいていただけると、実際に来院した際の治療計画の相談がスムーズに進むはずです。