鍼灸は病名に捉われません

昨日、「原因不明の慢性疲労症候群、厚労省が実態調査へ」というニュースを見ました。
記事によると慢性疲労症候群の症状は強い疲労感や頭痛、脱力感など、とあります。
実はこれらの症状って患者さんからよく聞く症状でもあるんです。

東洋医学的な鍼灸では、西洋医学的な病名や原因はあまり気にしません。
これは、どの流派・治療法でも共通することです。
何から判断して治療を決めるかというと、症状を含む身体全体の傾向です。
それを気の流れ、五臓六腑のバランス、気の量の偏りなどの形で把握しているのです。
ちなみに当院の積聚治療では、病は冷えからくるものと捉えて治療につなげています。
つまり一般に原因不明と言われ治療法に悩む病気でも、東洋医学では何かしらの判断とアプローチができるのです。

前述した記事で症状を知った時に、「鍼灸なら少しは役に立てるのでは?」と思いました。
もちろん似た症状でも、背景にある身体の状態は人によってかなり違いがあります。
過労による疲労感と同じように慢性疲労症候群による疲労感が治療によって改善するとは限りません。
こうして問題になるほどの症候群ですから、大元の身体の冷えも強いと想定できるからです。
しかし、そうであっても生活の改善は十分にありえます。
だからこそ原因不明といわれる病気の方にこそ、鍼灸という選択肢も考慮に入れてもらえるようになればなぁ、と思うのです。