万物に春意あり

少し前のことですが、今年は立春が例年より1日早いと話題になりました。
普通に生活をしていると単なる暦の上のことだと思うかもしれませんが、東洋医学では春の始まりは大事な区切りの1つです。
季節によって身体の状態が変わるということもありますが、元々東洋医学の背景にある東洋哲学でも春は特別な季節なんです。

「見万物自然皆有春意」

「万物を見れば自然に皆春意有り」。
少し前から陰長挨拶の座右の銘にも入れている言葉です。
「全てのものに春意がある」という意味なのですが、さて春意という単語にどのようなイメージを持つでしょうか?
季節の春だけを思い浮かべると、難解な言葉に感じるかもしれません。

春は生の季節

この言葉を残したのは、千年くらい前に中国で有名だった学者さんです。
専門にしていた学問は儒学。
儒学は礼儀や政治から哲学まで様々なジャンルに及ぶのですが、前提として全てのものは気でできていると考えます。

気の理論では、「春」という単語は単純に季節だけを表す訳じゃありません。
青(緑)・風・雷・木・東などなど、春季と関連の深い意味も多く含まれます。
今回の言葉で言えば、春季に草が芽吹き動物は繁殖を行うように物事が生長する様を表しているのです。

全てのものには生き生きとする力!

万物に春意があるということは、全てのものには生き生きとする力が潜在的に備わっているということです。
もちろん人の身体も万物に含まれるので、同じく春意を備えています。
江戸時代の有名な健康本には、そういった生き生きとした働きが自分の中にあると自覚することは健康につながると書かれています。
立春過ぎて生き生きとした働きが特に現れやすい季節になってきます。
自然や自分の春意を見つめ直してはいかがでしょうか?