タイトルは誤字じゃありません(笑)。
「風邪は万病の元」と良く言いますよね。
風邪と書くと、今では感冒(いわゆる感染症のカゼ)のことを意味しますが、元々は風の悪影響のこと。
風は体表から侵入して病の原因になると考えられていました。

積聚治療では風が気圧の差で起こることに着目しています。
気圧の変化、特に低気圧により身体の組織がゆるんでしまうのが問題になります。
[関連記事:「気のゆるみ」にご用心

東洋医学的な話はさておき、風が身体に様々な悪影響を及ぼすのは間違いありません。
今回は実感しやすいように、風で冷えるという点に着目して書きたいと思います。

とある本によると、山に行くときには気温に合わせた服装では準備不足になるそうです。
山では風が強いので、風による寒さも想定した服装が必要だと。
具体的には風速1m/sあたり体感温度は1℃下がるようです。
細かい数字はともかく、風で体感温度が下がるのは扇風機を思い出してもらえば納得できるはずです。

他の本ではこんなエピソードもありました。
インドの乾季(温度40℃、湿度5%くらい)の時期の儀式で、風通しの良い部屋に素焼きのツボに水を入れておきます。
すると水が蒸発しやすく、その際に奪われる気化熱によって氷ができるそうです。
人間でも不感蒸散と言って、常に皮膚など体表から水分が蒸発しています。
風で体表での蒸発が促進されると、気化熱で風のない時よりも冷えてしまいます。

では風で身体が冷えるとどうなるでしょう?
患者さんで冬になると左肩が冷えて痛むという方がいました。
冬の寒さのせいならば片側だけ(しかも利き腕でない方)痛むのはおかしい話です。
そこで住居環境などを訪ねてみると、食事の時に座る席に問題がありました。
冬になると吹く北風がすきま風となって自宅に入り、ちょうど席に座った時に左肩にあたるということでした。

上記のように風との関係がわかりやすいパターンばかりではありません。
風で冷えると、いつもの体温に戻すためには余計に産熱する必要があります。
この働きが追い付くうちは問題ありません。
しかし、風にあたり続けていれば、いずれ産熱するためのエネルギーが不足してきます。
そうすると他の部位も雪崩式にエネルギー不足となり働きを維持できなくなります。
その結果として様々な症状が現れるのです。

となれば話は簡単です。
エネルギーを使わずにすむようにすればいい。
つまり風で冷えなければいいわけです。
衣服などを工夫すれば風に身体をさらす機会は減らせます。
前回書いたような“首”を守ることも有効ですね。
[関連記事:“首”を冷やさない!
上記の患者さんのような場合は住環境の見直しも必要かもしれません。

山梨は山に囲まれているため強い吹き下ろしの風が吹きます。
回一堂鍼灸院の周りでも、冬の夜は北と西から冷たい風が吹き下ろしてきます。
そのような気候の土地だからこそ風への注意が必要です。
風は万病の元になりかねないのですから!